離婚と年金の問題
「離婚したら厚生年金ってどうなるの?」
年金の種類と年金分割
公的年金には、誰でももらえる国民年金と、サラリーマンがもらえる厚生年金があります。厚生年金を受け取ることができるのは、被保険者のみです。夫が働いて、妻は家事に専念するといった場合、妻が受け取ることができる厚生年金はごくわずかであるという場合が少なくありません。妻が専業主婦だった場合には、夫の厚生年金の保険納付実績を2分の1に分割することができます。これを年金分割といいます。
分割割合は、話し合いによって決めますが、基本的には按分割合0.5で決定することが多いです。なお、按分割合を0.5と定めたとしても年金受給できる金額の2分の1を受給できるわけではありませんし、2分の1に減らされるわけではなりません。また、年金分割は公的年金を対象としていることから民間の個人年金や確定拠出年金は財産分与として検討していくこと、厚生年金の報酬比例部分のみであることに注意が必要です。
もちろん夫が年金を既に受給している場合でも離婚する場合に年金分割することは可能です。50歳以上で老齢基礎年金の受給資格要件を満たしている方であれば年金分割をした場合の年金の受給金額の試算をしてもらうことが可能です。なお、年金分割をした場合にはどちらかが亡くなったとしても年金を受け取れないということはありません。
離婚後に年金分割を請求する
離婚後年金分割を請求することができる期間は離婚が成立した日の翌日から2年となっております。できる限り離婚と一緒に年金分割を解決することが望ましいですが、離婚してから年金分割をする場合には速やかに年金分割の合意をするか合意できない場合には調停を申し立てることが必要です。2年を経過する前に調停を申し立てた場合において、年金分割の合意や審判がでるまでに2年を経過してしまった場合には、調停が成立又は審判確定してから1ヶ月以内に年金分割手続をしないと年金分割ができないことになるので注意が必要です。
年金の問題は財産分与と合わせてそれぞれの生活設計に大きな影響を与える問題なので、専門の弁護士に相談し、正しく理解することをお勧めします。