後見人はどのように選べばよいか

後見人はどのように選べばよいか

法定後見の場合、後見人は家庭裁判所が選任します。しかし、後見開始審判の申立書には、後見人の候補者を記載する欄があり、ここに候補を記載しておけば考慮してもらえます。
 
ただし、家庭裁判所の家事調査官が調査して、相続関係等から不相当であるとの判断がされると、候補が記載されていても別途選任されます。候補が記載されていないときは、家庭裁判所が弁護士などから適任者を探して、選任します。
 
また、後見開始の審判申立書に書く候補者を誰にするべきかについては、人によって考えが異なります。過去の例では、子供や兄弟、配偶者等の親族がなることが多いようです。
 
理想的なのは、
○お金に関して絶対の信頼をおける方
○面倒見の良い方
○近所で生活している方
○本人より若い方
でしょう。
 
最近は、身上監護は親族、財産管理は弁護士が担当するという「共同後見」が増えてきつつあります。財産管理が中心になる場合は、第三者が客観的な立場で管理した方が望ましい場合も多いのでしょう。
 
また、相続人が複数存在する場合も、共同後見として、話し合いで後見事務を行うのがよい場合もあります。
 
任意後見の場合は法定後見の場合と異なり、自分で自由に後見人の候補者(任意後見受任者)を選任することができます。
 
ただし、以下の人は欠格事由に該当しますので、後見人にはなれません。
 
1)未成年者
2)家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人
3)破産者
4)行方の知れない者
5)本人に対して訴訟をした者、その配偶者及び直系血族
6)不正な行為、著しい不行跡その他任意後見人の任務に適しない事由がある者
 
身上監護が中心であれば、親族や社会福祉士等の方がきめの細かい後見ができるかも知れませんが、財産管理が中心であれば弁護士の方が適切な管理ができるかもしれません。また、裁判所への一定期間の報告や毎月の一定の収支以外の支出をする場合の裁判所との協議などを弁護士に全てお任せすることができます。
 
注意をしなければならないのは、後見人が一度選任されると判断能力が回復するなどの事情がない限り、亡くなるまで後見人がつくということ。また、後見人として親族を選任してもらおうと思ったものの、被後見人に多額の資産を有している場合(流動資産2000万円以上の場合には特に注意)や被後見人の親族が亡くなったことによる遺産分割が必要な場合などは裁判所において弁護士など専門家が選任されることになる場合があります。その場合、見知らぬ弁護士が選任されることになりますので、仮に親族に後見人を希望してもかなわない場合に備えて、自らの信頼できる弁護士を申立書に記載しておけば記載された弁護士が後見人として選任されるケースもあります。
 
後見人が選任されてしまうと裁判所の監督下となり、基本的に相続税対策はできません。相続税対策は被後見人のためではなく相続人のためであり、適否の判断を本人ができない以上、裁判所として適否を判断できないためです。したがって、相続税対策については生前贈与も含めた早めの対策を検討しておく必要があります。
 

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