遺留分減殺請求をされたら
遺留分は、法律上相続人に与えられた最低保証なので、遺贈・贈与を受けた者は、原則として、遺留分を相続人から正当に請求された場合、その分を相続人に渡す必要があります。仮に、その相続人が、被相続人の死亡前に、被相続人と長期間音信不通であったとしても、遺留分は相続人に認められた正当な権利なので、請求されれば拒むことはできません。
2.遺言が無効だと合わせて主張された場合
遺留分減殺請求と合わせて、そもそもあなたに有利な遺言が無効だ、と相手が主張してくる場合も多いかと思います。
遺言には、通常3つの種類があるところ、それぞれ法律に定められた方式に従って作成される必要があり、それができていなければ、遺言は無効となります。自筆証書遺言であれば、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自書し、これに押印する必要があり、パソコン入力では無効となります。また、公正証書遺言であれば、証人2人以上の立ち会いが必要であり、それがなければ遺言は無効となります。さらに、遺言の種類に関係なく、遺言者が遺言書作成時、遺言能力(意思能力)を欠いていた場合には、遺言は無効となります。
それ以外にも、内容が不明確との理由で遺言無効ともなりうるなど、遺言書の有効無効の判断は難しい場合も多いので、一度遺言書(のコピー)を持参して、弁護士にみてもらったほうがいいかもしれません。
※なお、自筆証書遺言(と秘密証書遺言)については、当該遺言書の裁判所の検認という手続が必要となるので、弁護士に見せる場合には、それを終えてからにする必要があります。
ちなみに、、、
こういった相続に関する紛争の場合、遺留分減殺請求や遺言の有効無効の話とは別に、被相続人と一緒に暮らしたり、よく面倒をみたりしていた相続人に対して、他の相続人が、被相続人の財産の使い込みの疑惑を向けてくることがあります。
その際には、使い込みしていないことの証明のために、日用品の購入レシート等を見せろなどと言われる方も多いようです。しかし、日用品の購入に関しては、レシートが残っていなくても、使い込みの疑いを晴らす手段はあります。
このように、普段被相続人の面倒を全く見ていない相続人からの言いがかりに近い主張により困っている方も、一度弁護士に相談してみるとよいかもしれません。
3.遺留分の返還の方法
遺留分減殺請求された物は、原則的に、現物で返還することもできますし、価額弁償により現物返還を免れることもできます(民法1041条参照)。すなわち、遺贈された相続財産の中から支払うこともできますし、自分の資産の中から現金や不動産で支払うこともできます。
4.納得できない場合
あなたが長男としてほとんど無給で父の事業を手伝ってきたなど、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合は、「寄与分」(民法904条の2)として、別枠で、被相続人の財産を取得することができます。(※ただし、あなたに有利な遺言により、遺留分をとられても十分寄与した分のリターンを得られている場合には、別枠で被相続人の財産取得をすることはできません。)
また、減殺請求してきた者が、被相続人から生前贈与を受けている場合には、遺留分の額の減少ないし消滅の可能性もあります。(特別受益。民法903条参照)
このように、遺留分減殺請求を拒むことはできませんが、あなたの利益をできうる限り守る方法は存在します。なので、遺留分減殺請求をされた場合には、一度弁護士に相談するのがよいかもしれません。
5.当事務所の強み
生前贈与(特別受益)が不動産譲渡である場合、不動産の価格評価の仕方によって、減殺請求された者に有利にも不利にもなります。(実際、不動産の評価方法の違いによる額の変動は多々あります。)
当事務所は税理士事務所も併設していることから、不動産評価に関する案件の処理件数が非常に多く、そのような実績から、減殺請求されている依頼者の方の利益を最大限守るお手伝いをすることができます。ぜひ、一度当事務所にご相談ください。
さらに詳しく遺留分減殺請求について知りたい方はこちらを確認下さい。